比較(2) 入試必須の慣用表現(その1)

比較(2) 入試必須の慣用表現(その1)

<今回の内容>

       「比較(2) 入試必須の慣用表現(その1)」



前回の「最上級を別の級で書きかえる」の解説は理解できましたか?
今回は前回に引き続き大切な構文も含めて慣用表現を解説していきます。

それでははじめていきましょう。

比較(2) 入試必須の慣用表現(その1)


one of the 最上級 + 複数名詞

さて、まず一つ目です。
受験生であればすでに知っている人も多いと思いますがこれです。

形: 「one of the 最上級 + 複数名詞」

意味:「最も〜な中の一つ」

例文:「Tokyo is one of the largest cities in the world.」
     (東京は世界で最も大きな都市の一つです)

解説:

「one of 〜」というのは「〜の中の一つ」という意味で後ろに最上級が続いて「最も、一番」という意味が加わる。


ポイントはその後ろに「複数名詞」が続くこと。前回の「比較級 + than any other 単数名詞」と混ざらないように。


また、「最上級で1番なのにどうしていくつもあるの?」という質問をよく受けますが、これは考え方としては「世界には大都市といわれる都市がいくつかあるけれど、東京はその中の一つです」という理解で大丈夫かと思います。

 

〜times as ・・・ as −

次に2つ目です。
これは原級(as 〜 as)に関係する表現です。

形: 「〜times as ・・・ as −」

意味:「−の〜倍の・・・」

例文:「This pencil is three times as long as that one.」
     (この鉛筆はあの鉛筆の3倍の長さです)

     *3倍と同じくらい長いとは訳さない。

解説:

「as 〜 as」は「同じくらい」という表現でした。これは比べたものや人が同じ場合に使いますが、いつでも同じとは限りません。そのようなときに使うのがこの表現です。


通常は「as 〜 as」の前に「〜times」を加えてあげればよいのですが、2倍のときは「two times」とは言わず「twice」という単語を使います。「twice」を使うときには「times」も入れません。


但し、めったに見ませんが長文の中で「two times」が使われていたときがありました。もしどこかで目にしたらそれは「2倍」のことなんだなと思って下さい。しかし皆さんが自分で使うときには「twice」を使うようにしておけば大丈夫です。

as 〜 as one can / as 〜 as posssible

今回の最後です。
これもよく出てきます。

形: 「as 〜 as one can」 「as 〜 as posssible」

意味:「できるだけ〜」

例文:「Ken studies English as hard as he can.」
    「Ken studies English as hard as possible.」
    (健は英語をできるだけ一生懸命勉強しています)

解説:

また「as 〜 as」ですが、ここでは「as 〜 as one can」という形です。 これも何度か見たことがあるかもしれません。


まず最初に注意をしてもらいたいのは「one」です。この「one」は「1」ではないですよ。これは慣用表現としていうときに一般的な人を表す代表のようなもので実際に使うときにはその時々の主語によって使い分けます。具体的には例文にあるように主語が「Ken」なら男の子なので「he」に変えるということです。


「asとas」の間には「できるだけ何なのか」を表す単語が入ります。 “一生懸命(hard)”、“早く(early)”、“すぐに(soon)”などが
代表的です。


この表現は例文で示してあるように後半の「one can」の部分を「possible」の1語に置きかえることができます。


この「possible」を使うと「one」を何に変えたらよいのかということを考える必要がなくなります。つづりに注意してください。「s」は2つです。


【注意点】

この慣用表現を使うときにテストでねらわれる注意点があります。それは『時制の一致』です。時制の一致とは「主節の動詞が過去形になったら従属節の動詞も過去形にあわせる」というものでした。上の例文で考えてみると次のようになります。

     主節          従属節
Ken studied English / as hard as he could.
      ↑                  ↑
主節の動詞が過去になった  従属節の(助)動詞も過去にあわせる


このように一つの慣用表現をとってもとりあえず知っているだけではあと一歩のところで落としてしまうかもしれませんので注意が必要です。また、時制の一致は「possible」を使ったときには動詞が入っていないので考える必要がなくなります。


ちなみに手紙などで「ASAP」とつける場合があります。これはここで説明した慣用表現を使ったもので「as soon as possible」の頭文字をとったものです。手紙の返事を「できるだけ早くね」ということを略語で伝えているのですね。



今回は以上になります。
それでは最後に今回のまとめをしておきましょう。

今回のまとめ


1  「one of the 最上級 + 複数名詞」


意味:「最も〜な中の一つ」

例文:「Tokyo is one of the largest cities in the world.」
     (東京は世界で最も大きな都市の一つです)

ポイント

複数名詞」が続く。
「比較級+ than any other 単数名詞」と混ざらないように注意。

2   「〜times as ・・・ as −」


意味:「−の〜倍の・・・」

例文:「This pencil is three times as long as that one.」
     (この鉛筆はあの鉛筆の3倍の長さです)
     *3倍と同じくらい長いとは訳さない。

ポイント

「2倍」のときは「two times」とは言わず「twice
「3倍以上」は「three times」「four times」のように「〜times」をつける。

3   「as 〜 as one can」 「as 〜 as posssible」


意味:「できるだけ〜」

例文:「Ken studies English as hard as he can.」
    「Ken studies English as hard as possible.」
    (健は英語をできるだけ一生懸命勉強しています)

ポイント

「one」は主語にあわせた代名詞がかえる。
「possible」は「one can」と入れ替えたと考える。
「時制の一致」に注意する。